今回は、前回の記事に引き続き、「お米」と「電気」の両方を、同時に作ることができる、画期的な方法「ソーラーシェアリング」の記事の後半として、ソーラーシェアリングについての疑問に、お答えしていきたいと思います。
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この記事をご覧になることで、低下の一途を辿っている、食糧自給率と、エネルギー自給率の両方を、同時に上げる可能性を秘めている、ソーラーシェアリングについて、具体的な内容を知ることができます。
では、本題に入りたいと思います。
目次
前回のおさらい
最初に前回の動画の、おさらいをしたいと思います。
最近のお米と電気の値段の高騰の原因は、大元をたどると、最終的には食糧自給率と、エネルギー自給率の低下にいきつきます。

食糧自給率は、高度経済成長期以降、低下の一途をたどり、カロリーベースでは、2023年時点で38%まで、低下しています。

エネルギー自給率は、高度経済成長期以降、低下と向上を繰り返しながらも、全般的に低下の方向に向かい、2022年時点で、13%まで低下しています。

お米と電気の値段を、5年前の水準にまで下げるためには、長期的な視点に立った根本的な解決策として、共に低下している食糧自給率と、エネルギー自給率を、それぞれ向上させることが重要です。
そして、食糧自給率とエネルギー自給率を、同時に上げることができる、画期的な方法が、ソーラーシェアリングです。

ソーラーシェアリングは、農地の上に太陽光パネルを設置することで、農作物と電気を同時に作ることができる、画期的な方法です。


ソーラーシェアリングは、日本発祥の技術で、2013年に千葉県市原市で第1号が誕生し、落花生、トマト、キュウリなど、10種類以上の作物の栽培が開始しました。

そして、その翌年の2014年には、静岡県で、稲作(おこめの栽培)にも成功しています。

ソーラーシェアリングは、農作物の収入の他に、売電収入を得ることができるという、大きなメリットがあります。

ソーラーシェアリングは、農作物と電気の、二毛作を行っているとも言えるので、農業経営の安定化と農業の再生にも、有効な方法です。

特に、農業の再生の面では、売電収入を活用して、耕作放棄地を再生した事例もあります。

そこで、ソーラーシェアリングは、2023年現在で、富山県の面積に匹敵するほど、広がってしまった耕作放棄地を、再び農地として再生させるための、効果的な方法としても注目されています。


また、ソーラーシェアリングを、従来の太陽光発電と比較したときの、大きなメリットの1つが、既にある農地、または耕作放棄地を利用するので、環境負荷が非常に小さく、環境破壊を起こさない点です。

仮に、富山県の面積に匹敵する耕作放棄地を、全てソーラーシェアリングで再生できたとすれどうでしょうか?

その発電量は、太陽光パネルの遮光率を30%、変換効率を20%、設備利用率を10%とした場合、一年間の総発電量は、2,223億kWhとなり、これは日本の一年間の電力需要、1兆kWhの22%にも相当します。

さらには、日本の農地の30%をソーラーシェアリングにした場合、その総発電量は、日本の全電力需要を、賄うことができることが、算出されています。

このように、ソーラーシェアリングは、農業の再生による食糧自給率の向上だけでなく、環境破壊を起こさずに、エネルギー自給率を向上させるうえでも、大きな可能性を秘めています。

ソーラーシェアリングの3つの疑問
ここで、前回の記事の最後でも触れましたが、次の3つの疑問が出てくるかと思います。
まず、最初に出てくる疑問が「農地の上に太陽光パネルを設置して、下の農作物の成長に、影響が出てこないの?」という疑問です。

次に、「太陽光パネルが、トラクターなどの農業機器の使用の、邪魔にならないの?」という疑問もあるかと思います。

その他にも、「農地の上に太陽光パネルを設置することで、法律上の扱いはどうなるの?そして手続きはどうなるの?」という疑問も出てくるかと思います。

そこで、今回はこれらの3つの疑問に、お答えしたいと思います。
そして、筆者の個人的な意見も入るのですが、ソーラーシェアリングの、今後の展望についても、見ていきたいと思います。
では、まず最初に、ソーラーシェアリングの3つの疑問について、お答えしていきたいと思います。
疑問1:農地の上に太陽光パネルを設置して、下の農作物の成長に、影響が出てこないの?

ソーラーシェアリングでは、農地の上に太陽光パネルを設置するので、当然、パネルの影が出来ます。
そこで、最初にこの疑問が出てくるかと思います。
しかし、農作物を含めた植物は、全ての太陽光を成長に使っている訳ではありません。

植物は成長のために、太陽の光を使って光合成を行い、空気中の二酸化炭素を炭素と酸素に分解し、炭素は成長に必要な成分として取り込んで、酸素を放出します。

この植物の光合成の働きによって、大気中の酸素濃度は保たれています。

森林伐採が進むと二酸化炭素が増えて、地球温暖化が進むと言われるのは、この光合成を行う植物(森林)の量が、減るためです。

植物が、光合成を行える能力は、種類ごとに上限があり、その時の太陽光の量は「光飽和点」と呼ばれています。

そして、この光飽和点を超えた太陽光は、農作物の成長に使われることはありません。
例えば、稲(お米)の場合の光飽和点は、4万ルクスから5万ルクスです。
それに対して、太陽光の明るさは、晴れた日では約10万ルクスと、稲(お米)の光飽和点と比較して、約2倍の大きさとなります。
これらの光飽和点の数値から計算すると、稲(おこめ)の光飽和点は、晴れた日の太陽光の明るさの40%から50%です。
光飽和点は、植物によってことなりますが、稲(おこめ)の事例からも分かるように、太陽光の一部しか、成長には使っていないのです。

ソーラーシェアリングに使われる太陽光パネルは、従来のものと比較して、約3分の1の厚さです。

そして、農地の上に設置するときに、隙間を空けて、遮光率を概ね30%程度とすることで、太陽光の70%は、下の農作物に、当たるようにしています。

ソーラーシェアリングでは、農作物によっては遮光率を変えることもありますが、多くの場合は70%の太陽光が、農作ぶつに当たるようにすることで、光飽和点を超える、十分な太陽光を確保しています、

さらには、太陽光パネルの陰が、逆に農作物の生長に、良い影響を与える場合もあります。
なぜかといいますと、農作物の種類によっては、太陽光が強すぎる場合、高温障害を引き起こし、かえって成長に悪影響を及ぼす場合があるからです。

農作ぶつの種類によっては、ソーラーシェアリングにより、太陽光パネルで適度な陰を作ることで、高温障害を防ぐことができた事例も、確認されています。

疑問2:太陽光パネルが、トラクターなどの農業機器の使用の、邪魔にならないの?

太陽光パネルを屋外に設置する場合、架台や支柱が必要になるので、多くの方が、この疑問を感じられるかと思います。
そこで、ソーラーシェアリングでは、農耕機器の使用の邪魔にならないように、地面から3メートル程の高さに太陽光パネルを設置します。

そして、パネルと架台を支える支柱についても、5メートル以上の間隔を開けて、農業機器の使用の邪魔にならないようにしています。

疑問3:農地の上に太陽光パネルを設置することで、法律上の扱いはどうなるの?そして手続きはどうなるの?

建物の屋根ではなく、地面に直接太陽光パネルを設置する場合、設置可能な法律上の土地区分は、雑種地、原野、山林、宅地などで、原則としては、農地への設置が認められていません。
しかし、ソーラーシェアリングが開始した、2013年から、一定の条件を満たせば、太陽光パネルの支柱を、設置する部分の農地の「一時転用届」を、提出することで、農地の上に太陽光パネルを設置することが、認められるようになりました。

ソーラーシェアリングが認められる条件は、「農業を継続すること」、「太陽光パネルの支柱が簡易な構造で、容易に撤去できること」、「周辺農地の利用に、支障がないこと」、「農業収穫高が、太陽光パネル設置前の概ね2割以上、減少していないこと」、などです。
「一時転用届」の有効期間は、制度が始まった当初は、3年間で、3年ごとに、再申請を行う必要がありました。
しかし後に、手続きの負担を、軽減するために「農業の担い手が所有、または賃借している農地を、利用する場合」、「荒廃農地(耕作放棄地等)を、再生利用する場合」、「第2種農地や、第3種農地を利用する場合」などの条件を満たせば、「一時転用届」の有効期間は、10年間まで延長して、認められるようになりました。
ソーラーシェアリングを、認めてもらうためには、収穫量が太陽光パネル設置前の、8割以上であることなど、少し厳しい条件がありますが、これは、売電のみが目的のかたが、ソーラーシェアリングに参入して、農業がおざなりになることを防ぐためのものです。
ここまで、ソーラーシェアリングへの疑問に、お答えしてきましたが。
2013年に開始した、新しい技術であるソーラーシェアリングは、開始から12年が経過して、技術面での進歩が進み、法整備も整ってきています。
そこで、ソーラーシェアリングは、農業を再生しながら環境にやさしい再エネを増やすことで、食糧自給率とエネルギー自給率を、同時に上げることが出来る、画期的な方法として、今後が期待されます。

ソーラーシェアリングにより、耕作放棄地を中心に太陽光パネルを設置すれば、貴重な森林資源を破壊して開発を行わなくても、環境を破壊せずに、環境に優しい再エネを、増やすことができるのです。

農業の再生に有効な法案「ローカルフード法・条例」とは?
ここで、筆者が、個人的にソーラーシェアリングの、今後の展望として期待していることを、ご紹介させていただきたいと思います、
ソーラーシェアリングの今後の展望として、筆者が個人的に有望と考えているのが、ローカルフード法・条例との連携です。
ローカルフード法とは、地域の農作物の「種」を守りながら、農作物の地産ちしょうを目指す法案です。
ローカルフード法は、前参議院議員の、川田龍平さんが中心となって、法案を作成されて、政党の垣根を越えた超党派での制定を、目指されている法案です。
国会でのローカルフード法の制定を、目指す動きと並行して、地方自治体でも法律と連携した、ローカルフード条例の制定を、目指す動きがあります。
ローカールフード法・条例では、地域の種を守りながら、地域で採れた農作物を学校給食を中心に、地域に提供して、農作物の地産地消を通じた農業の再生と、地域経済の活性化を目指しています。
一方で、ソーラーシェアリングが盛んな地域でも、農作物の地産地消を通じた農業の再生と地域経済の活性化目指す動きがあり、ローカルフード法・条例の目指す方向性と一致します。
そこで、将来は、法案が制定されれば、ソーラーシェアリングと、ローカルフード法・条例との連携により、農業を再生しながら、農作物の地産地消を通じた農業の再生と地域経済の活性化が進むことが期待されます。
ローカルフード法の法案作成の中心となった、川田龍平さんは、残念ながら前回の衆議院解散総選挙では、当選されませんでしたが、ぜひ次回の国政選挙で国会に復帰されて、ローカルフード法が早期に制定され、ソーラーシェアリングとの連携により、農業の再生と農作物の地産地消を通じた農業の再生と地域経済の活性化が進むことを、期待したいですね。
この記事ページでも、ローカルフード法の早期制定と、法案制定に向けて活動されている、川田龍平さんを、応援して行きたいと思います。
そして今後の記事でも、ローカルフード法・条例の動きについても、随時お伝えしていきたいと思います。
ここまでご覧いただきまして、ありがとうございました。
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ありがとうございました!


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